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連載コラム「デイトレード 特集記事」

株式投資における投資手法を分類した言葉に、「バリュー(割安)株投資」と「グロース(成長)株投資」というものがあります。「バリュー株投資」とは、その企業の持つ資産性、収益性からみた本来の価値に対して、市場で割安な価格がついている株式を買う投資法のこと。「グロース株投資」とは、企業の将来の成長力に着目した投資法とされています。割安性と成長性の両方に着目した、「バリュー・グロース(割安・成長)株投資」という投資法の分類もあるようです。

バリュー株投資とは

株式投資で成功するには、支払った価格以上の価値を手に入れる必要があります。良い企業が持つ価値を、割安な価格で手いれることが必要なのです。このことは、何も投資に限った特別なことではなく、普段誰もが行っている経済行動(お買い物)となんら変わるところはありません。価値と価格を比較し、安いと判断すれば買いますが、高ければ買いません。予算が決まっていれば、その価格の範囲でより良いものを、より価値の高いサービスを選択します。ごく自然な行為です。

株式投資における価値と価格とは

では、株式投資における価値と価格とは、何を指すのでしょう。まず価格とは、言うまでもなく株価あるいは株式時価総額を指します。次に価値ですが、株式投資における投資家から見た企業の価値は、「企業価値=債権者価値+株主価値」で現します。さらに、株主あるいはこれから株主になろうとする個人投資家が、把握しなければならないのは株主価値です。株主価値は、「株主価値=事業価値+非事業用資産価値−有利子負債価値」、「事業価値=企業が将来生み出すであろうフリーキャッシュフローの現在価値の総和」として算出されます。株主価値を発行済み株式数で割ったものが、理論株価です。
この株主価値(理論株価)と時価総額(株価)を比較して、「株主価値>時価総額」であれば「割安」、「株主価値<時価総額」であれば「割高」と判断されます。

グロース(成長)株であれば割高でも買い?

グロース株と呼ばれる成長性の高い銘柄では、しばしば驚くほど割高な価格が形成されます。このことは、説明のつかないほど割高な価格となってもなお「グロース株は企業の成長力に期待した投資であり、株価が高いのはあたりまえ」という理由だけで、その企業の株式を手に入れようとする投資家が多いことを現しています。
ある企業に対してバリュエーション(企業価値算出)を行った場合、その企業の成長率を低く見積もったケースと成長率を高く見積もったケースを比較すると、当然ですが後者の方が企業価値は高くなります。よって、成長率が高いほど、株主価値(=企業価値−債権者価値)は高くなり、理論株価も高くなるという関係が成り立ちます。
ただし、将来どれほど高い成長が見込まれる企業の株式であっても、その成長に見合う妥当な価値と価格というものが存在します。その価値以上に割高な価格で買ってしまった投資家は、その企業が予想した成長率をさらに凌ぐ高成長を達成し続けるか、あるいは投機家によって価値と大きく剥離した割高な価格が形成されたときに売り抜けない限り、いずれは、本来の価値に向かって収束していく価格の下落と共に、損失を被ることになります。
冒頭で書いた株式投資法の分類をあえて再定義するなら、「株式投資とは総じてバリュー株投資であり、中でもより企業の成長性に着目した投資手法がグロース株投資である」といえます。

企業価値評価(バリュエーション)というスキル

バリュエーション自体は、投資家に利益をもたらしてくれる錬金術や打ち出の小槌ではありません。「ある企業の将来価値を現在の価格で手に入れる」という株式投資の性格上、バリュエーションによって算出される価値は、企業の成長率をどの程度に見積もるのか、投資家が企業にどの程度の利回りを要求するのか(フリーキャッシュフローを現在価値に割り引く際の割引率)によって大きく変動してしまうからです。あくまでも企業の価値を、投資家が理解しやすい「いくら?」に換算しなおすための道具であるといえます。
しかし、その道具を持たずに株式市場にお買い物に行くことは、非常にハイリスクです。例えば、何も知らない子供:「おじさん缶ジュース1本ちょうだい」、店主:「いくらで買ってくれるのかな?」、子:「うーん、1万円持っているから1万円」、店:「まいどあり」といったやり取りと同様の失敗をしてしまう可能性が高くなります。
このような非合理的な価格付けは、残念なことに株式市場において頻繁に見うけられます。こうして起こる価値と価格の剥離が、バリュエーションという道具を持っているバリュー投資家に、投資によってさらなる利益を得るチャンスを与えてくれているわけです。バリュエーションは、何よりもまず投資家が身に付けなければならないスキルといえます。
バリュー投資・バリュエーションについて知りたい・学びたいという方は、まずは次の3人の投資家、「ベンジャミン・グレアム」「フィリップ・フィッシャー」「ウォーレン・バフェット」に関する書籍を読まれることをお薦めします。

NPO法人 日本デイトレーダー協会
理事長 砂田洋平

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