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連載コラム「デイトレード 特集記事」
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- 第5回
- システムトレード検証と実践
システムトレードでは、いくつかのテクニカル指標を組み合わせて作りあげた一定のルールに基づき投資判断を下し、感情に左右されることなく機械的に投資を行います。トレーディングにおいては、資金力、経験、テクニックなど必要なファクターがありますが、その中でも感情のコントロールを身に付けることが最も重要かつ困難で言われます。この問題をクリアしてくれるのがシステムトレードです。
トレードシステムの作成には、 Excelなどの表計算ソフトやプログラム言語を用いてシステムを自作する方法と、トレードシステム作成支援ソフトを利用する方法があります。プログラミングのスキル次第では、実際の売買注文までシステムに組み込むことで、ほぼオートマティックに運用されるシステムを構築することも可能です。
検証
有効に機能するシステムを構築できれば、以降はシステムの出すシグナルに従い売買を繰り返すシンプルなトレーディング手法ですが、このシステム構築にはある程度の時間と労力を傾ける必要があります。
考えたシステムに対して過去のデータを使ったテストを行い、売買ルール、ロスカットルールなどの有効性を検証します。有効なシステムが見つかるまで、システム発案→テスト→テスト結果の検証の作業を繰り返すことになります。
システム構築においては、あらゆる市場で運用できるシステムを目指すのか、ある市場ある特定の銘柄で運用するシステムを目指すのか、を明確にしておくべきです。またテストを行う際は、使用するデータの期間、実際にその売買が成立したのか、手数料などの売買コスト、ロスカットのルールといったことにも注意してください。
テストの結果、最も利益を上げたシステムを採用するのか、期間を通して安定した利益を上げ続けたシステムを採用するのかについての検証も必要です。例えば最も利益を上げたシステムが、全期間を通して低調な運用成績であるにも拘わらず数回の勝ちトレードにより大きな利益を上げているような場合、将来のパフォーマンスに不安が残ります。
Excelによる簡単なテスト
(日経平均2005年〜日足データを使用。売買枚数は1枚、売買手数料は0)
- パターン1:前日陽線の場合、翌日の寄りで買い引けで決済する。
- パターン2:パターン1 + 5日・25日移動平均線によるゴールデンクロスの状態
(5日移動平均線が25日移動平均線を上回っている状態) - パターン3:パターン1 + 25日・50日移動平均線によるゴールデンクロスの状態
表 各パターンのテスト結果
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全てのパターンで総利益マイナスとなる、残念な結果となりました。
実践
作成したシステムによる運用を開始したら、引き続き一定期間毎にシステムの検証を行います。過去のデータに対して有効であったシステムが、あるいは昨日まで利益を上げていたシステムが、将来の相場に対しても有効に機能する保証はありません。
バックテストの結果と比較して期待した結果を残せていない場合はもちろん、バックテストの結果を大きく上回る利益を出した場合にも注意を払ってください。システムと実際の相場の動きが大きく剥離しているようであれば、想定外の利益を出すこともあれば、逆に想定外の損失を被る可能性があるといえます。
またシステムの検証を行う期間を決めておいてください。短期的には、システムが勝ち続けることもあれば負け続けることもあります。負け続けていればシステムに不安を抱き、システムを見直したくなります。しかしシステムの検証精度を上げ、システムに効果的な修正を加えるためには、ある程度の売買の頻度と期間が必要です。
あわせて運用資金のリスク管理を徹底しておきましょう。システムの中に資金管理のルールを組み込むのも良いでしょう。もしシステムが有効に機能しているからといって、一度の取引額を安易に増やし続けると、一度の負けトレードで相場から退場することになります。
最後に、システムトレードによるトレーディングを決めた以上、システムに従うというルールを守ります。いかにも上昇しそうなチャート、度重なる負けトレードに対する不安など、様々な要因がトレーダーの心を揺さぶります。どれほど優秀なシステムを作りあげたとしても、そのシステムを信じシステムの出すシグナルに従って運用を継続できなければ意味がありません。そもそも感情の迷いやあいまいな判断による失敗を避け、継続して安定したパフォーマンスを残すためにシステムトレードを選択したのですから。
NPO法人 日本デイトレーダー協会
理事長 砂田洋平
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