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連載コラム「デイトレード 特集記事」
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- 第7回
- デイトレーダーのためのマーケット分析のメリット・デメリット
トレード(投機)におけるマーケット分析では、インベストメント(投資)における分析に比べ、企業の財務体質や業績といった企業そのものに対する分析より、対象企業の発行する株式の値動き、言い換えると他のマーケット参加者の動向分析に重点が置かれます。中でもより短期間で売買を繰り返すデイトレードでは、この傾向が強くなります。
ニュース
例えばリリースされたIRが、どれ程企業の業績を左右するのかといったことよりも、その情報を知った市場参加者が「いつ」「どのように」行動するのか?を判断することが重要です。どんなにインパクトのあるニュースでも、他のマーケット参加者のポジションがロングとショートで均衡しているとき、あるいは参加者がポジションを取ろうとしないとき株価は動きません。逆にさほどインパクトのないニュースであっても、参加者のポジションがどちらかに傾けば株価は動きます。
ただし自分の知り得たニュースを、ストレートにトレードに用いるのは難しいといえます。いかにネット環境が整備されたとはいえ、ニュースの入手スピードや分析力において、個人がプロのトレーダーや機関投資家に対して優位に立てる場面は稀です。「相場が大きく動いた後で、確認してみたらニュースがリリースされていた」ということの方が多いでしょう。その場合は後を追わず、ポジションを取らない、あるいはニュースにより行き過ぎた相場に対して逆のポジションを取る方が賢明です。
信用取引(取り組み)
現物取引のみという方であっても、信用残、信用倍率、逆日歩、信用取引規制といった信用取引に関する情報は抑えておくべきでしょう。信用残の膨らみは、多くの参加者あるいは大きな資金がある方向に相場が動くと予想しポジションを取っているということです。
一方で「買残」は将来的な売り圧力、「売残」は将来的な買い圧力でもあります。信用残が積み上がるほど、買い方の「投げ」や売り方の「踏み上げ」を誘い値動きは大きくなります。信用期日や追証が「投げ」や「踏み上げ」の引き金となるため、買い方と売り方のどちらが評価損を抱えているのか、返済期日はいつなのかを知ることでマーケット参加者の動きを予測することができます。
信用取引の経験がないという方は、以下のリンクを参考にしてください。
ボラティリティ
ボラティリティには、銘柄ごとに特徴があり、その銘柄を売買しているマーケット参加者のタイプに依存します。ボラティリティの高い銘柄には、一般的にハイリスク・ハイリターンを好むトレーダーが集まり、集まったトレーダーによって激しい値動きが形成されます。
ある価格から上昇(下落)すればするほど、さらに上昇(下落)する確率は低下し、反転下落(上昇)する確率が増加します。それを無視して不用意にエントリーすることは、高値掴み底値売りとなる可能性が高くなり、自らハイリスク・ローリターンのマーケットに飛び込んでいるようなものです。またボラティリティが高ければ高いほど、ロスカットが遅れた場合の損失は拡大します。銘柄ごとのボラティリティを把握しておけば、そうした失敗を減らすことができるでしょう。
マーケット分析とトレードプラン
いくつかマーケット分析について述べましたが、いずれもマーケットが開くまでに行っておきたい作業です。さらに分析をもとにした自分の考えを、トレードプランという形でまとめておきます。プランには、エントリーとエグジットのシナリオはもとより、シナリオが崩れた場合いのサブのシナリオもいくつか準備しておきます。
一旦場が開いてしまえば、動き続けるマーケットに対し、常に一瞬の判断を求められます。このプレッシャーは、トレーダーの平常心を奪います。もう一度トレードプランを立て直してエントリーするか、そこでトレードを休んでもよいでしょう。ノープランでマーケットに飛び込むことは、最悪の選択といえます。
経験を積み学習を重ねることでマーケット分析精度を上げることはできますが、100%相場を予測することは不可能です。自分の描いたプランが崩れたとき、あえて「正しい」「間違っている」という表現をするなら、正しいのは常に、形成されていく価格の方です。その場合は速やかに、エントリーするのか、エグジットするのか、なにもしないのかの判断を下してください。
NPO法人 日本デイトレーダー協会
理事長 砂田洋平
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