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連載コラム「株の始め方」

●第19回  株式分割銘柄で注意することとは?

3月になると、多くの企業が決算時期を迎えます。決算のときには、株式分割によって、株価が下がったように見えることがあります。これを権利落ちといいます。

たとえば、「3月末時点の株主に対して保有する株式の数をタダで増やしてあげますよ」という株式分割(無償増資)などがあると、価値が下がったわけでもないのに株価が下がったこととして計算されます。1株1000円の株に対して1対2の株式分割をすると、1株が2株になるわけですから、理論上は1株500円が適正株価ということになります。

「1株1000円の株を1株持っていた」株主は、「1株500円の株を2株持っている」という状態に変わります。見た目の株価では1000円が500円になるので損をしているように見えますが、実際の価値は分割前と変わりません。つまり、見た目の株価では損しているように見えても、株主は、実際に損しているわけではないということです。

ただし、“3月末時点の株主”にはタダで株式の数を増やしてもらえる権利があるのに対して、その翌日に1株500円で株を買って株主になった人にはこの権利はついていません。このように、権利をなくした分だけ株価が下がることを「権利落ち」といいます。

最近では、大幅な株式分割を行う企業も増え、その場合の適正株価も大きく下がってしまうことになりますので、いろいろな注意が必要となってきます。

さて、「平成18年1月4日以降を基準日とする株式分割から、基準日の翌日を効力発生日とする」との制度改正が行われています。

旧制度では、株式分割で新しく発行される新株の株券が流通するまでに約2ヶ月かかっていました。つまり、新株の売買はしばらくの間できないという状態でした。そのため、株が品薄状態となりそれを狙って投機的な売買がされることもありました。

新制度では、証券保管振替機構(ほふり)に株券を預けている場合、基準日(株主名簿で確定される日)の翌日が新株の効力発生日となり、この日から新株の売買が可能となります。このように、新株を売買できるようになるまでのタイムラグを少なくしたことで、株の品薄状態による株価の急激な上昇は抑えられます。
また、これに伴い、株式分割による新株券の発行日決済取引きが行われないことになりました。ただし、ほふりではなく、本券で預けている場合は従来どおりの扱いとなります。また、ミニ株の場合は、効力発生日からの売却となり、単元株と取扱いが異なりますので注意してください。

信用取引の担保にしている株式が分割した場合は、代用有価証券として取り扱われますが、株価は権利落ち後の親株券の株価となりますので、評価額の変化にも十分注意が必要です。

詳細は各金融商品取引業者で変わる部分がありますので、取引きされる金融商品取引業者に確認されることをお勧めします。

[コラム執筆者]

時川郁
CFP。1963年熊本県生まれ。大妻女子大学短期大学部卒業。
日興證券にて11年間窓口営業に従事。1996年にファイナンシャルプランナーとして独立。マネー・ライフプランの個別相談から、セミナー・執筆など精力的に活動している。熊本日日新聞「家計のイロハ」、月刊家族時間「お金の学校」などを執筆。

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