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連載コラム「株の始め方」

第8回  信用取引における様々な規制

信用取引は、株式市場の相場形成に大きな役割を果たしていますが、信用取引がふくらみ相場の加熱感が高くなってくると、金融商品取引所や証券金融会社、金融商品取引業者は様々な規制を行い市場を正常な状態へと導きます。これは、相場が大きく変動すると投資家が大きな損失を被ったり、破産したりするリスクから保護するためです。

■金融商品取引所が行う規制

金融商品取引所が出す規制は、市場が過熱してきたときに発動される“市場全体に対するもの(全面規制)”と、個別銘柄が加熱したときに注意を促す“個別銘柄を対象とするもの(個別規制)”があります。

全面規制には「委託保証金率の引き上げ」や「代用有価証券掛目の引き下げ」があります。

「委託保証金率の引き上げ」とは、通常30%のところを40%、50%と段階的に引き上げられるものです。それに伴い、保証金のうちの10%は現金で差し入れるなどの規制がされます。委託保証金率を引き上げたり代用有価証券掛目を引き下げることによって、投資家は信用取引に参加しにくくなり、市場は沈静化してきます。

個別規制には「日々公表銘柄の指定」「委託保証金率の引き上げ」「代用有価証券除外」などがあります。「日々公表銘柄の指定」は、株価や出来高、信用残が急増した個別銘柄を毎日公表することによって注意を喚起します。合わせて委託保証金率も引き上げられ、それでも沈静化しない場合は新規信用売りの停止などが実施されます。

■証券金融会社が行う規制

証券金融会社の規制には「貸株注意喚起」「貸借取引申込みの制限・停止」「増担保規制」などがあります。証券金融会社は、信用売りが増えて貸し付ける株券が少なくなり調達が難しくなると判断した銘柄に対し注意喚起を行い、金融商品取引所が「貸株注意喚起銘柄」を発表します。それでも改善されない場合は貸借取引申込みの制限・停止を実施して「貸株申込制限銘柄」として、金融商品取引所が日々公表銘柄として公表します。

日々公表銘柄に指定されても改善されなければ、委託保証金率を引き上げたり、代用証券の掛目を引き下げ、担保の額を増やす「増担保規制」を行います。

■金融商品取引業者が行う規制

また、金融商品取引業者も独自の基準で規制を行います。個別銘柄が対象で、「新規信用取引停止」「現引き・現渡しの停止」「代用証券の掛目規制」などがあります。信用取引ができなくなったり、信用取引の決済は反対売買でしかできなくなったりします。代用証券の掛目規制では掛目が0%となり担保として使えなくなることもあります。

いずれにしても、これらの規制が実施されると株価に大きな影響が出てきます。規制は警告から段階的に規制のレベルが上げられていき、市場が正常な状態に戻れば規制を解除します。これらの規制は自分に直接関係のない銘柄に対して行われたとしても、全面規制がとられたり、間接的な影響によって損失を招く可能性があります。信用取引をしている場合はもちろん、株取引においては常にこのような情報に目を向けておくことが必要です。

[コラム執筆者]

時川郁
CFP。1963年熊本県生まれ。大妻女子大学短期大学部卒業。
日興證券にて11年間窓口営業に従事。1996年にファイナンシャルプランナーとして独立。マネー・ライフプランの個別相談から、セミナー・執筆など精力的に活動している。熊本日日新聞「家計のイロハ」、月刊家族時間「お金の学校」などを執筆。

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