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連載コラム「株の始め方」

第13回  数字に強くなる!<EPS、ROEとは?>

前回は、株式投資のものさしであるPER・PBRについてお話ししました。もう一つ、よく使われる指標に「ROE」というものがあります。Return on Equityで「株主資本利益率」と訳されます。

これは、企業が株主資本(純資産)を元に、どれだけの利益を上げてくれたかを見る指標です。

ROE(%)=(税引き後利益÷株主資本)×100
     =(1株あたり利益÷1株あたり純資産)×100で表されます。

ここで利用する株主資本の数値は期首と期末の平均値を使うことが多いようです。
株主資本とは株主が預けているお金・株主のお金ですから、いかに効率よく事業を営んでもらって、利益を上げてもらって、運用してもらって、どの位の利益を上げてくれたかという、株主にとっては自分の資産の利回りにあたります。ROEが高いほど、株主のお金を効率的に使って利益を上げてくれたと見られるので、投資に適していると判断されます。

たとえば、株主資本が300億円の企業A社B社があって、A社は30億円の利益、B社は3億円の利益を上げているとしましょう。ROEを計算すると、A社は10%、B社は1%となります。A社のほうが株主のお金を効率よく使って利益を上げてくれたというわけです。
当然、株を買うなら利益を上手に上げてくれる会社がいいですよね。

ただし、企業の負債が多く、株主資本が少ない場合にも一時的に利益が上がり、ROEの数値が高くなることもありますので注意が必要です。
また、景気が悪いときには企業の利益も少なくなりますから、ROEの数値も低くなります。だからといって悪いわけではなく、今後どうなっていくのか、今は買い時なのかそうでないのかなど、総合的に判断していく必要があります。

平成18年10月17日現在、主なROEは、トヨタ自動車が14.00%、本田技研16.10%、松下電器産業4.21%、シャープ8.43%、NTT7.36%、NTTドコモ15.34%となっています。

前回・今回とPER・PBR・ROEの意味や計算式についてお話ししましたが、その中でよく出てきていたのが「1株あたり利益」(EPS)です。法人税などを差し引いて最終的に会社に残る利益を発行済み株式数で割ったもの、すなわち1株に対して最終的な純利益がいくらなのかを表す指標です。
EPS(Earnings per Share)=税引き後利益(当期純利益)÷発行済み株式数です。また、PER・PBR・ROEの3つの関係を見てみると、ROE×PER=PBRとなります。
求める式に当てはめると
「1株あたり利益/1株純資産 × 株価/1株あたり利益 =株価/1株純資産」
これらの指標は単独で見るのではなく、総合的に判断していくことが必要です。

この5月に会社法が改正され、海外からの投資が増えているなどの理由から貸借対照表の内容が一部変更されました。そのため、ROEの「資本」の部分が、もっと範囲が広い「純資産」に変わったため、今までの基準で計算した場合よりも低下しました。金融庁と東証は今までの「資本」とほとんど同じ項目を「自己資本」とし、これをもとにROEを算出するように義務付けました。ただ、今のところ、一般的には以前のままの「資本」で使われているようです。

[コラム執筆者]

時川郁
CFP。1963年熊本県生まれ。大妻女子大学短期大学部卒業。
日興證券にて11年間窓口営業に従事。1996年にファイナンシャルプランナーとして独立。マネー・ライフプランの個別相談から、セミナー・執筆など精力的に活動している。熊本日日新聞「家計のイロハ」、月刊家族時間「お金の学校」などを執筆。

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